日本ブリーフサイコセラピー学会

日本ブリーフサイコセラピー学会 第33回 岡山大会
The Japanese Association of Brief Psychotherapy Annual Meeting

大会シンポジウム

大会特別シンポジウム
8月27日(日) 14:40~16:40

コンプリメントさいこう

話題提供
黒沢幸子(目白大学/KIDSカウンセリング・システム)
東畑開人(白金高輪カウンセリングルーム)
青木省三(慈圭会精神医学研究所)
津川秀夫(吉備国際大学)

指定討論
山田秀世(大通公園メンタルクリニック)
児島達美(KPCL:Kojima Psycho-Consultation Lab.)

司会
久持修(やまき心理臨床オフィス)


今大会のテーマは「コンプリメントさいこう」となっております。コンプリメントとは、褒めることやねぎらうことと訳されます。そして、ここで用いられている「さいこう」という言葉は「最高」と「再考」という2つの意味が込められていることは多くの方がすでにお気づきのことと思います。
本シンポジウムは、大会テーマがそのままタイトルになっており、まさに本大会の目玉企画となっております。
「コンプリメント」については本学会において説明する必要はないと思われるほど重要なキーワードと言って良いでしょう。まさに「最高」であるとすることには違和感を持つ方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。しかし、「最高」であるだけで終わらせてしまうのは勿体なく、改めて問い直してみることによってコンプリメントの理解をさらに深めていくきっかけにできるのではないでしょうか。
そこで、本シンポジウムでは、本学会を代表する2名のシンポジストに加えて、学外の先生に2名御登壇いただき、コンプリメントを様々な角度から捉え直してみる機会としたいと思っております。

大会シンポジウム
8月27日(日) 9:30~11:00

①「ハマる」人へのアプローチ:依存・嗜癖

話題提供
蒲生裕司(医療法人社団 心翠会/東京医科歯科大学)
長谷川直実(大通公園メンタルクリニック)
村上伸治(川崎医科大学)
田中ひな子(原宿カウンセリングセンター)

指定討論
西川公平(CBTセンター)

司会
安江高子(関内カウンセリングオフィス)


『飲酒問題とその解決』。言わずと知れた、BergとMillerによるソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピーの主要文献です。アルコール、薬物、ギャンブル、買い物への依存。また、リストカットなどの自傷行為や摂食障害も「依存・嗜癖」ととらえられます。近年ではゲーム、インターネット、スマートフォンなどへの依存も知られるようになりました。これら「依存・嗜癖」とブリーフセラピーは、長く浅からぬ関係にあったと言えるでしょう。
一方、「依存・嗜癖」への支援については、難しさや苦手意識を吐露する支援者の声を耳にします。「治癒が困難である」「治療意欲が低い」といった支援者側に根深くはびこる認識が、有益な支援を先ず以って妨げているようにも思われます。このような時、「依存・嗜癖」を「ハマる」人と言い換えてみると、どうでしょう。支援者側の心持ちが、少し変わりはしないでしょうか。違う見方をしてみること。たとえばそんなちょっとした工夫が、支援者を助けるのかもしれません。
幸運にもこの度は、「依存・嗜癖」に熱意をもって長年取り組まれてきた先生方にお集まりいただけました。「ハマる」人に役立つ様々なアプローチ方法や、日々の実践からの経験や工夫などについてお話しいただく予定です。「知ること」が支援者自身を変え、支援そのものが変わる一歩となる。そんなシンポジウムになるよう願っています。

② リソースを活かした学級・学校づくり

話題提供
渡辺友香(KIDS カウンセリング・システム/目白大学)
八幡睦実(カウンセリングLab.ステラ/元中学校養護教諭)
松本一郎(岡山理科大学/元倉敷市立西中学校)

指定討論
花屋道子(東北文教大学)

司会
相模健人(愛媛大学)


本シンポジウムでは学級、学校での様々なリソースについて取り上げていきます。
話題提供者として、学校現場でリソースを活かした学級・学校づくりを実践している先生にお願いしました。
子どもたちの良い態度を取り上げ、最高のクラスを目指す「解決志向のクラスづくり」を学校内で支援している渡辺友香先生、解決志向アプローチをバックボーンに仲間支援の力を活かして取り組んでいく「サポートグループアプローチ」を進める八幡睦実先生、PBISと解決志向アプローチをもとにした「グッドビヘイビアカード」に取り組んでいる松本一郎先生に、それぞれの活動をご紹介いただきたいと思います。
指定討論は花屋道子先生にお願いして、学校現場でのリソースを活かした学級経営や学校経営について議論を深めたいと思っています。どうぞお越しください。

③ 子どもの心の発達支援と保護者支援プログラム
 ~岡山県子どもの心の診療ネットワーク事業~

話題提供
宮野美保子(岡山市こども総合相談所)
難波佑気(岡山市こども総合相談所)
井上悠里(まな星クリニック)

指定討論
壺内昌子(岡山市発達障害者支援センター)

司会
武井祐子(川崎医療福祉大学)


「子どもの心の診療ネットワーク事業」において、岡山県では、人材育成と子どもの心に関わる機関や専門職の連携に取り組んできました。本シンポジムでは、子どものこころや行動の問題や育児に悩む親(養育者)に対し、親子の相互交流を深め、その質を高めることによって回復に向かうよう働きかける遊戯療法(プレイセラピー)と行動療法に基づいた心理療法である親子相互交流療法(PCIT)の実践、子どもとよりよい関係を築く時に大切な養育のスキルを体験的に学ぶことができる、トラウマインフォームドな視点から生まれたペアレンティングプログラムのCAREの実践を紹介します。宮野美保子先生からは児童相談所が医療や大学相談室と連携しながら実践しているPCIT、難波佑気先生からはPCITを学び、実践をスタートしてみて感じていること、そして、井上悠里先生からは発達障害や情緒・行動問題に対する児童精神科医療でのCAREの取り組みについて話題提供していただきます。岡山でのネットワークを活かした取り組みについて、参加者の先生方に知っていただき、子どもと家族の支援のあり方について考え、実践していく仲間として、ネットワークが広がっていくことを期待しています。

④ 最高の「ブリーフの学び方」再考(研修委員会企画)

話題提供
西田晴香(東京都スクールカウンセラー)
木場律志(甲南女子大学)
赤津玲子(龍谷大学/京都ファミリールーム)
八巻秀(駒澤大学/SYプラクティス)

司会
山仲彩代(中村メンタルクリニック/やまき心理臨床オフィス)


本学会は「個別の治療的アプローチの枠組みを超えて効率的な援助方法の発展を目指す研究団体」として発足。エリクソニアン・アプローチ、解決志向アプローチ、システムズアプローチ、ナラティヴ・セラピーなど・・・多種多様なアプローチ方法が学ばれ、探求され、実践され…学術大会もついに第33回を迎えました。
拠り所となるアプローチの選択や活用方法も多様な中、1つに絞るのか、折衷するのか…そのバリエーションも十人十色だと思われます。多様なアプローチが学ばれている本学会だからこそ、研鑽する中で「取り入れ方」を迷うことはないでしょうか?
アプローチとの出会い方、成長の仕方、実践の中での変貌(の有無)・・・セラピストの数だけ様々な歴史があるようです。様々な成長スタイルを経てきた(と企画側がイメージした)登壇者をお迎えし、各アプローチとの出会いや取り入れ方をご紹介いただくシンポジウムを「催行」します。
この機会に、ご自身の成長スタイルを「再考」してみませんか?参加される先生方にとっての「最高」の成長に繋がる時間になると「さいこう」です!

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