日本ブリーフサイコセラピー学会

日本ブリーフサイコセラピー学会 第33回 岡山大会
The Japanese Association of Brief Psychotherapy Annual Meeting

特別講演・学会長講演

特別講演(市民公開)
8月26日(土) 10:00~11:00

自分の、家族の、職場で、うつ病に気づき対応する

講師
稲垣正俊(島根大学)

司会
石原武士(川崎医科大学)

講師ご略歴
広島大学医学部卒業。広島大学大学院修了(医学博士)。
国立がんセンター研究所、米国国立精神保健研究所(NIMH)、国立がんセンター東病院、国立精神神経センター、岡山大学を経て2018年より島根大学医学部精神医学講座教授。
うつ病の治療や研究、緩和ケアなどに従事し、我が国の自殺総合対策の策定にも携わる。


内容紹介
うつ病は、私たちの約15人に1人が経験していると言われるほど身近なものです。
特別な病気ではなく誰もがなりえるものですが、その一方で、症状や特徴は気づきにくいとも言われています。
例えば、うつ病のせいで悲観的に考え込んでいても、それを普段の落ち込みの延長線上で捉え、受診するのが遅くなることは少なくありません。
うつ病の症状や特徴を知ることは自分自身や家族、職場の人々の健康をまもる上で役立ちます。当日はうつ病に気づくためのコツや対処法について教えていただきます。ふるってご参加ください。

新・旧学会長講演
8月26日(土) 17:40~18:40

講師
第10期会長 法澤直子(やまき心理臨床オフィス長崎ルーム)
第9期会長 久持修(やまき心理臨床オフィス)

司会
長沼葉月(東京都立大学)


ブリーフ学会の常識さいこう

私は自分を「非常識人風の常識人」だと思っているのですが、人から見れば「常識人風の非常識人」かもしれません。自分のことを棚に上げ、自分の常識の枠から外れる人や感覚が異なる人を非常識と称したくなるのは私の悪い癖です。こうやって考えをめぐらせていると、私自身が「常識が良、非常識が悪」、こんな何の面白みもないフレームを所有していることにも気づきます。そしてこの「何の面白みもない」という発想そのものも、私のフレームであり…。何をお伝えしたいのか訳がわからなくなってきました。
10期という節目に会長を拝命したのは何の因果なのかと考えます。学会創設から30年が経ち、当学会の置かれている立場や色は少しずつ変わってきているようです。時代と共に対人援助職を取り巻く環境が変わる中で、当学会の常識もアップデートしていく必要があるのかもしれません。いつだって常識を疑おうとする姿勢は持ち続けたいものです。先人たちがそうであったように。

(法澤直子)



ブリーフサイコセラピー学会とブリーフサイコセラピストの「生き残り」を考える

本講演のテーマは「生き残り」としました。我ながら随分と大それたテーマを掲げてしまったものです。しかし、会長を経験して感じたこととして、今学会が直面しているのは、まさに「生き残り」だということです。
本学会は設立30年を迎え、学会を立ち上げた当時の若き先生方は次々と本学会の中心から離れて行かれました。今、学会の中心にいるブリーフサイコセラピストは「第二世代」というべきメンバーです。
また、理論的にもミルトンエリクソンからは随分と離れた多種多様なものが入り込んできており、これらを学会として柔軟に取り入れていくのか、あるいはこれまで築き上げてきたものを大切にしていくのか、なかなか難しい局面を迎えているように感じます。
私からは、このテーマに対する回答は出せそうにありませんが、「生き残り」について皆様と共に考えていくための話題提供をさせていただきます。学会やご自身のことを「再考」するきっかけになればと思っております。

(久持修)

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